どうも、ぐっぴーです。先日、「生きるということ」が無事終演しました。応援してくださった皆様に感謝申し上げます。本ブログにて思い出を綴らせていただきます。

本作のオファーをいただいたのは、1年以上前。中井さんが「ムーラン・ルージュ・ザ・ミュージカル」にご出演中に、中村哲医師を題材とした作品の上演のお話をいただきました。
中井さんは私が人としても役者としても大尊敬かつ大好きな方で、作品のお話をいただいた時は二つ返事でYESでした。
ただ、中村哲医師という大きな題材をどう作品にするのか、そして私に求められた役柄がアフガンの自然や人々という挑戦的なものでした。
当初、参加予定だった米島史子さん(以降ヨネちゃん)と、たくさんの話し合いをしたことが懐かしいです。

ワタシノコトとは違った創作プロセス
「ワタシノコト」は中井さんが私にたくさんのヒアリングとディスカッションを重ねて作られた、私たちから生まれた物語です。
一方「生きるということ」は、実在した偉人である中村哲医師の話。自分を見つめ直す作業ではなく、中村哲医師の人生やアフガニスタンの気候など、作品の土台となる要素を理解する作業から始まりました。

舞台美術であり小道具の赤い糸

多くのお客様から、赤い紐の演出が素敵だったとお褒めの言葉をいただきました。ゴムを用いた演出は中井さん・ヨネちゃんとのディスカッションで生まれた案で、早い段階で決まりました。
GBは黒を基調とした空間で、赤いゴムが神秘的にも、おどろおどろしくも見えて作品にとっていいスパイスになりました。

時には山となり、またアフガンの人々の体を蝕む病気を表現するなど、舞台ならではの表現が実現できました。

一人で演じる大自然とアフガンの人々
当初、アンサンブルはヨネちゃんと私で表現する予定でしたが、仕事の都合でヨネちゃんが出演できなくなり、私一人でアンサンブルワークをすることになりました。
通常、舞台のアンサンブルワークは大勢で表現するので、そもそも二人でも難しいのですが、
一人になった時は正直不安でした。
中井さんはいつでも私のことを信頼してくださり、『樋口なら、一人で自然や男性女性を問わず、シームレスに演じることができる』と背中を押してくださいました。
3人で選んだ衣装は、透け感のあるふわりとしたシャツとゆったりめのパンツ。それをどう着こなし、様々な役を使い分けるか、ヨネちゃんとリハーサルを重ねました。

本当にヨネちゃんの存在なしには、この作品の踊りは完成できませんでした。中井さんにも都度ご意見を伺い、まさに3人で作り上げたムーブメントでした。

合宿稽古

本番が近づいた頃、合宿稽古を行いました。参加者は中井さん・上野さん・長濱さん、そして私の4名。
それぞれが用意してきた歌、芝居、ダンスを掛け合わせる作業が主な目的でした。中井さんとは頻繁に連絡を取り合い実際に会っていましたが、上野さんと長濱さんと合流したのは合宿からでした。

中井さんと上野さんはオンラインで稽古を重ねていたそうですが、対面で芝居を見せるのはこの日が初めてでした。
初めてのお披露目にもかかわらず、上野さんはセリフも内面の演技も完璧に仕上げており、中村哲医師そのものでした。
温厚な性格や時折見せる厳しい眼差しまで、すべてを体現されていて、鳥肌が立ちました。
踊りに関しては、長濱さんの生演奏に今までの振り付けを合わせることで、新たなインスピレーションが湧き、さらなるブラッシュアップができました。

各々が孤独と向き合いながら作ってきたアイディアはそれぞれが呼応しあい、全てが溶け合っていくような魔法の時間でした。

最強のバンドチーム

「ワタシノコト」でもお馴染み、中井智彦さんの率いる最強バンドチーム。今回も場所を提供してくださった東新宿のシャンソンバーPetit MOA様にてバンド合わせが行われました。
生バンドってやっぱりすごいです。音楽が生きているというか、演者の私たちをアフガンの土地に誘ってくれる圧倒的なパワーがあります。
バンドメンバーは中井さんが求める音楽を完璧に理解し、「生きるということ」を完全なものにしてくれました。

大変だったこと
ダンサーとしては、一人で多数の役柄を演じ分けることが最も難しかったです。でも、ヨネちゃんの手厚いサポートのおかげでなんとか形にすることができました。

全体として最も苦心したのは国会シーンでした。当初からヨネちゃんと意見を出し合い、このシーンが鬼門になることは分かっていました。いくつものパターンを稽古場で試しましたが、どれもしっくりこず、最終的に私がカホンを叩きながら風景に溶け込むという形に落ち着きました。うるさすぎず、かといって存在感が薄すぎない、絶妙なバランスを目指しました。


谷津賢二監督の手厚いサポート
まだ寒い時期に谷津監督がインタビューに応じてくださいました。
実は、このインタビューに私も同席させていただき、谷津監督にご挨拶させていただきました。
監督は温厚でありながら、その目に宿る力は相当なものでした。多くの経験を重ねてこられたからでしょうか。
谷津監督が制作された「荒野に希望の灯をともす」で描かれている中村哲医師と同じ眼差しを持っておられました。
アフタートークをご覧いただいた方はお分かりかと思いますが、愛で全てを包み込むような素敵なオーラをお持ちの方です。谷津監督から中村哲医師の話を聞くと、自然と涙が込み上げてきます。愛に溢れた方の力は本当に素晴らしいものです。

終演後、楽屋で谷津監督から『樋口さんの表現でアフガニスタンの風を感じられて、人々を演じているときは本当に現地の人の目に見えた』というお言葉をいただいた時は、全ての努力が報われた思いでした。

先輩の背中

創作意欲を絶やすことなく、数々の作品を生み出し続ける中井智彦さん。
作品を形にして発表することは大変な労力と時間を要し、決して一人では成し得ないことです。
私を含め、周りの人間は皆、中井さんのことが大好きです。
妥協を許さず、人にリスペクトを忘れず、常に前進し続ける姿に、私は彼について行きたいと、いつも思います。
きっと中井さんの周りの人々も同じ思いを抱いているはず。
終わりではない始まり

「生きるということ」は全日程完売という、自主公演では稀有な形で幕を下ろしました。
この作品は単なる娯楽ではなく、中井智彦さんの眼差しを通して描かれた中村哲医師へのラブレターのように思えます。
観る人全てに、真心とは何かを改めて考えさせてくれる物語です。
真心と聞くと、大げさなものに思えるかもしれませんが、実は私たちの日常に溢れているものです。
見知らぬ人が困っているときに声をかけることとか、妊婦さんに席を譲ることとか。

○○ファースト(○○中心)という言葉があるように、人への思いやりが薄れている時代。
きっと本作を見たら、誰かに優しくしたくなります。

どうかこの物語が、多くの人の心に届きますように。

樋口祥久
樋口さん 生きるということ お疲れ様でした
樋口さんの踊りからアフガニスタンの人々
雄大な景色や風 匂いも感じライブハウスにいながらアフガニスタンにいる気持ちになりました
雄弁で壮大 繊細で柔らかくて激しい踊りに
ふわりとまるで自分の意志を持っているように動くシャツの動きにも魅せられました
特に用水路の場面での水の動きには目が離せなくて…国会の場面での樋口さんの動きも
惹きつけられてあの場面での振り付けのお話いつか米島さんと一緒に聞いてみたいです
あの赤いゴムの演出も舞台の中でとても活きていて配信で見ても印象的でした
出演者4人での 生きるということ も観たい夢ができたし 福岡公演も楽しみにしています
生まれたばかりの物語 これからもっと沢山の方に中村哲医師を通して伝わる 平和への祈り
真心 信頼 優しさが届きますように
本当に最高のチームでこの物語を届けて下さりありがとうございました
このあとの記事読みました
お祖母様お悔やみ申し上げます
私も最近義父を見送り今も悲しさ 寂しさがありますが今をしっかり見て生きていこうと思います
これからは2人のねこちゃんより愛おしくなりますね
新舞子海岸は、私の地元です
子供の頃からあの海を見てきた主人が以前埋め立て工事をしたと言っていますからもしかしたら樋口さんの子供の頃の景色と多少変わっているかもしれませんね